活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
よしながふみ『ジェラールとジャック』
よしながふみ『ジェラールとジャック』白泉社文庫、
2004.5初版、2006.7第9刷、430p、638-
解説:松尾慈子


フランス革命前のパリ。
小説家のジェラール・アングラードは、行きつけの男娼宿で、
父の借金のかたに売られてきたばかりの貴族の少年、
ジャックと出会う。第一印象は最悪。
翌朝、ジェラールはジャックを娼館から請け出し、
自分の才覚で生きていくよううながす。
数日後、新しく雇ったという下男を執事から紹介された
ジェラール。その下男は偶然にもジャックだった。
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銀髪碧眼の美形中年と、黒髪に緑の目の美少年→美青年、
しかも時代衣装、という、ある意味ちょーおいしい設定ながら、
なかなかそうは問屋が卸さないところがよしながだなあ(笑。
「これは私だけの焼き菓子」「召使いの夜の愉しみ」という
そそるタイトルでありながら、そこから想像するのとはてんで
異なった内容の各章。いいねえ。

この話には、よしながふみの全てが入っているといって過言ではない。
無償の愛、肉欲を含んだ愛(同性、異性)、親と子の関係、
大いなる赦し、体制批判、おいしい食べもの(笑)。
誰からも聞かれないけど(笑)、よしながの最高傑作を
問われることがあったら、いまのところはこれなんじゃないか。
そのうち『大奥』が追撃してきそうな気もするけど。

2007.11購入
★★★★
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よしながふみ『大奥』
よしながふみ『大奥』第1巻〜3巻、白泉社、
第1巻:2005.10.4(2007.2.15、第14刷)
第2巻:2006.12.4
第3巻:2007.12.25


男性、特に10代の男性に劇症を生ずる伝染病、
「赤面疱瘡」が関東の山村を襲ったのは、
江戸に幕府が定められ、ようやく安定した日々が営めるかと、
人々がひと息ついたころだった。
その病は江戸を席巻し、近畿に到達し、男性の人口を激減させる。
人々はこれに対抗する手段を持たず、いつしかこの病は
この国のひとつの一般的な病として定着してしまう。
およそ80年後、男子の人口は女子のほぼ4分の1で安定。
その生存率の低さゆえ、男子は大切に育てられ、
家業のすべてが、女子から女子へと伝えられることとなる。
将軍職も3代家光以降、女子の継ぐところとなり、
世は6代将軍、家宣。
貧乏武家に生まれた水野祐之進は大奥に上がることを決意した。

夭折した7代の跡を継いだのは、紀州徳川家の吉宗。
女子としての名は、信。
聡明なかの女は、公式の場面における、
この男名と女名の使い分けに違和感を持つ。
また、将軍のために多くの男性が勤める大奥というシステムにも
疑問を持ち、そのシステムが作られた3代将軍家光の代から
右筆を務める村瀬のもとを訪れ、かれがつけている日記、
「没日録」をひもとくのだった。

ここまでが1巻。
2巻は赤面疱瘡に席巻され、男子の数が減って、
社会がそれまでのシステムを維持でいなくなっていく80年前から語られる。
その状況で、死んでしまった男性家光の跡を秘密裏に継いだ、
家光の隠し子、千恵と、かの女の大奥に入った
万路小路有功(までのこうじ・ありこと)=お万の方の話。
3巻は、どうしようもなく男子が減っていく中、徳川家を、
そしてこの国を維持していくためにどうすればいいのか、千恵とお万が
そのシステムを構築し、それが定着していく様が語られる。
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第1話だけ雑誌で読んで、それ以降読んでなかったけど、
3巻が出たのをきっかけに全巻買い。
やべえ、すごいよ、よしながふみ。
設定がまず頭抜けているし、その設定をものすごく生かしている内容。
千恵を妊娠させられなかったかどで、かの女の伽を遠慮させられる
お万の苦しみとか、心をお万に置いたまま、他の男の子を出産する千恵の
惑いとか、錯綜する状況の中の、ある意味極限の人間模様。
ついでに、初期の徳川家が、征夷大将軍だ幕府だといっても、
西国の大きな大名家をおそれる、いち大名家であるところの描き方とか、
歴史物としても、ある意味かなり忠実。
4巻以降は、このことを知った吉宗がいかに処していくか、なんだろうけど、
千恵とお万が幸せになるといいなあと、少女マンガ的に望んでおこう。

2007.12購入
★★★★
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山岸凉子『ヴィリ』
山岸凉子『ヴィリ』メディアファクトリー、2007、
238p、619-


東山礼奈、43歳。著名なバレエダンサーで、東山バレエ団のトップ。
ベンチャー企業が後援についたこともあって、発表会で「ジゼル」の
全幕を上演することになった。
礼奈はもちろんジゼル役。
難役だが組み上がりは好調、企業社長の高遠との関係も良好だ。
海外から団に戻った打永の存在に、
ミルタ役の中堅、三船が動揺していることと、
娘の舞が、高校に入ってから伸び悩んでいる上、
宝塚を受験したいなどと言い出したこと、
それ以外に不安な要素などないはずだった。

ヴィリ(Wilis)は、結婚直前に亡くなった女性が精霊となったもの。
一般には「ウィリー」と呼ばれる。
「ジゼル」に登場する。
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『テレプシコーラ』後の「ダ・ヴィンチ」連載。
礼奈の自覚と悟りと感謝、が奇跡を起こすわけなのだが、
どうもわたしにとってはよくわからない、重要と思えない
エピソードが多すぎるような気がする。
うーん、なんだろう。とても煩雑な印象。
全体には悪くないと思うんだけど…

公演中、ベールをかぶったヴィリたちが怖い怖い(笑。
礼奈のジゼルも本当に美しいし、
そういう画力、ほんと山岸だなあと思う。
『テレプシコーラ』の続き、早く読みたいな。

200710中旬購入
★★★
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よしながふみ『きのう何食べた?』
よしながふみ『きのう何食べた?』第1巻、講談社、2007、154p、562-

筧史郎43歳、弁護士、40代にしては破格の美貌と若さを保つ。
自炊が楽しみ。美容師をしている恋人と同棲をしている。
18時きっかりに職場を辞し、スーパーをはしごして買い物をする日々。
憂鬱なのは、自分がゲイであるということを受け入れられない親との関係。

ちなみに昨日食べたのは、小松菜とねぎとわかめとあぶらげのみそ汁、
長芋と明太子を二杯酢で和えて、わさびとのりをのっけたやつ、
大根と鶏手羽先を甘辛く煮たのと、ブロッコリーのおかかあえ、
発芽玄米ごはん。
今日の夕食は、鮭とごぼうの炊き込みごはん、
小松菜と厚揚げの煮びたし、大根とほたてのなます(作り置き)、
たけのことザーサイ入り中華風炒りたまご。
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きゃー、よしながふみ最高!
ちょっと発売が遅れてて、ほんと待望という感じ。
知人は本屋をはしごしたらしい。
ちょっと丁寧にごはん作って食べようー、という気になるな。
それにしてもこの人は、食べものを描くのがなんてうまいんだろう♪

親との間にちょっと説明しがたい確執があるのは定番。
次刊が楽しみだー。鶏肉の香草パン粉焼き… ←そっちかよ!
しかもこれモーニングなんだ、すごいな(笑。

本屋といえば渋谷のブックファーストが移転閉店だなんて、
渋谷にまともな本屋がなくなるじゃないか。文化果つる街だ。。
文化村頑張れ(笑。

20071125購入
★★★★
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山岸凉子『舞姫』第10巻
山岸凉子『舞姫 テレプシコーラ』第10巻、
メディアファクトリー、2007、240p、620-
第1部完結


2度にわたる左膝の手術の甲斐なく、回復への道のりが
ひじょうに困難であることを宣告された千花。
悩んだ末、バレリーナ以外の道を模索するも、
周囲は「強い」千花を信じ、かの女が他の進路を
選ぶことを逃げだと責め、千花自身、周囲に気を
遣えなくなっていく自分に苦しんでいく。
富樫先生の教室の発表会に、小品を振りつけてみろと
勧められた六花が、そのことに頭をいっぱいに
していたある日、千花はビルの屋上から飛び降りた。
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いつから第1部だったんだ!(by『げんしけん』)笑

姉である千花の死後、かの女を思い、自分の限界を
ふりしぼって「トゥオネラの白鳥」を振りつけた六花。
そのオリジナリティあふれる振りつけに、誰もが
六花のコリオグラファとしての才能を認める、まで。

にしては、長くないか、10巻。
語り手は六花なのだが、そのわりには比重が大きくない。
主人公は千花かと思ってしまうほど、姉の待遇(?)はよく、
最終的には、六花のコリオグラファとしてのセンスを
磨くことになった中学のダンス部の話も長かった。
もしかしたら今後の伏線になるのかもしれないけど、
空美ちゃんの話も細かすぎないか?
かの女の問題ある家庭環境や、児童ポルノのくだりは、
本当にこの話に必要だったんだろうか。

もう3、4冊はシェイプすることができるのはないか、
という冗長な印象が否めない第1部。
山岸の特徴でもある、「必要な人物以外を書き込まない」
手法というのが、今回あまり生かされていないような。
モノローグを持つ人物が多すぎるし、正直どうでも
いいと思えるような些細なエピソードにページが
割かれすぎ。
結局どこに落とすのか、わくわく、というよりも
ひやひや、みたいな。

とはいいつつ、ラストの「トゥオネラの白鳥」のシーンは
圧巻。
姉を失わないことには、この力を発揮できなかった六花。
1年も年が違わないこの姉妹、
よくできる姉と、姉に依存するあまったれの妹。
河合隼雄的に解釈すると(笑)
妹が姉の影なのだろうと思ってしまうが、
実は、おそらく姉の方が、妹の影であったのだ。
「くるみ割り〜」の舞台での姉の代役、翌年の主役、
などの六花の真価が問われ、それが成功する状況は、
姉の不在時に集中している。
千花の死によって真に開花する才能、の表現は、
「不在」のあまりに残酷な、しかし意外ではない形だ。

表に立つことを好まなかった、しかし才能のある者が、
先駆である人たちを最終的に押しのけてはばたいていく
という構図は、特にめずらしいものではないのだろうが、
このコミックに関しては、お蝶夫人がひろみにいった
「わたくしはだめでした」「天才は無心なのです」を、
切なく想起する。
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さて、第2部はマジで出るのかな。
★★★★
20070123購入。
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山本直樹『堀田』第1巻
山本直樹『堀田』第1巻、太田出版、2003、174ページ、952-


えええーー。
直樹ー。
いくらなんでも。

太田出版のやつなら『テレビばかり見てると馬鹿になる』が
かなりよかったのにー。

★★
20061011購入。
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山岸凉子『舞姫 テレプシコーラ』第9巻
山岸凉子『舞姫 テレプシコーラ』第9巻、2006、20060724購入
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