活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
とりのなんこ『とりぱん』第3巻
とりのなんこ『とりぱん』第3巻、講談社、2007、
130p、590-


5月刊行で、わりとすぐに購入してたけど、今ごろ感想。
淡々と季節がめぐって第3巻。
今回、いつにもまして昆虫寄りな気がする(笑。
そうか、アゲハの幼虫はこんなのか…
「享年6ミリ」がよかった。
セルフ缶詰工場はいいな。うちの地元にもないかしら。

やはり商業誌に載ると、全然絵のうまさが違ってくるなあ。
1巻とは別人だわ。
文学的な言い回しも、だいぶ板についてきて、しみじみ。
そのしみじみ感がやや計算されたものじゃないかという
ちょっとした警戒感も同時にある。
あと、この人、この作品以外に、どうやっていけるかしら、
と人ごとな心配ふたたび。

★★★
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谷川史子『積極 ー愛のうたー』
谷川史子『積極 ー愛のうたー』集英社クイーンズコミックス、
2006、179ページ

積極
スパイラルホリディ
風の道


やっぱり、この人のこと好きなんだと思う。
今はなき雑誌「りぼん」本誌に初掲載された
「きみのことすきなんだ」を小学生のときに読み、
その、そこはかとない和の風情にやられたんだった。
そのころ、少女漫画の人物が住んでいる家庭は、
うそっぽいほど洋風で、読んでて全然共感できなかった。
そこへ谷川は、ちゃぶ台でごはんを食べる、
家の中でははだし、ちょっと外に出るときはつっかけ、
という生活感あふるる情景を、自然に描き出したのだ。
今でこそ、そんなのはめずらしくないけれど。

「積極」は、何年も前に亡くなった妻を今も愛する
定年間近の教授を、見つめ続け、ほっこりと愛する
女子学生が主人公。河野裕子の短歌、
「青林檎与へしことを唯一の積極として別れ来にけり」
まんま具現化。でもこれ、タイトルはいまいちだなぁ。
もっと考えればよかった。のにサブタイトルもかなりいまいち。
鳥野教授は60歳のくせに老けすぎ。
ここが私立大学で、65歳の定年だとしても老けすぎ。

「ホームメイド」の登場人物である鳶田くんの結婚披露パーティを
めぐる、さまざまな人間模様のどたばたの一日。
恩田の『ドミノ』を彷彿します、「スパイラルホリディ」


ううーん、おもしろかった。
けど、もう少し頑張ってほしいな。
このまま、ちょいとかわいい、小綺麗な作品で
まとめてほしくないな。
原点は「ちはやぶるおくのほそみち」でしょう。

★★★
20061023購入。
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とりのなん子『とりぱん』第2巻
とりのなん子『とりぱん』第2巻、講談社、2006、128ページ

…うまくなったなぁ!
1巻のときは、このまま1発野郎だったらどうしようかと
思ったんだった(笑。

この人のいいところは、野鳥を初めとする生き物を、
かわいいと感じたり、えさをあげたりすることの
自己満足性や偽善性みたいのを、きちんと自覚して
確信犯的にそれらをやってるとこだな。
特に「かまさん編」ではそれが顕著。
晩秋に死にかけのカマキリを保護し、えさを与えている
ことに対して、軽く自問するのだ。
36ページはなかなかよかったので、書き出してしまえ。

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 初夏に道ばたで 黄緑色の糸クズが
 風に逆らって動いて いると思ったら
 1グラムにも 満たない 子カマキリだった

 子カマキリは 人間にとっての ゴジラよりも大きい
 私に向かって きっちり 戦うポーズをとった

 誇り高く 勇敢なかまさんたちは
 餓死でも凍死でも 潔く受け入れるだろう

 あのシジュウカラはラッキーだったが
 かまさんが今 幸せかどうかは 定かではない
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このカマキリは雌で、作者の部屋で卵を産んで、寿命を迎えた。
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 春になったら 卵が孵るだろう
 シラスより小さな かまさんの 子供たちは
 また来年も 世界に立ち向かうのだ
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この観察力、そんでべたべたしない愛。
動物に関わるなら、かくありたいと思うなぁ。


ところで夫が牛脂に反応し、スーパーなんかで見つめているらしいが
だめです、うちではえさ台は作れません。


★★★★
20061003購入。
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