活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
澁澤幸子『寵妃ロクセラーナ』
澁澤幸子『寵妃ロクセラーナ』集英社、1998、279ページ

…よく調べましたね。みたいな感じ。

ロクセラーナ=ロシア女、とくれば、オスマン朝トルコの
シュレイマン1世の妃で、奴隷上がりの赤毛の女。

どれほど寵愛されても、「妃」は公式には妾であるという地位を
脱することができなかった中期オスマン朝の慣習をくつがえし、
皇后という地位にまで上りつめた。
大宰相イブラヒムを讒訴し、女は列席することができない
公式の場に、緞帳の陰からではあるが、参列を実現した。
と、塩野七生『緋色のヴェネツィア』では
野心あふれる人間として描かれている。つか酷評。

しかし、この話では、
ロクセラーナ(これは蔑称。妃としての名はフッレム)を
そういう人間としては描かず、故郷から誘拐され、トルコで奴隷にされ、
数奇なめぐりあわせでシュレイマン1世のハーレムに上がり、
シュレイマンと熱烈に愛しあうようになった、純粋な人間としている。

うーん、まぁ、それはいいんだけど。
この作家、作家としては正直たいした才能ないと思う。
歴史物だから、あるていど調べて、多少の想像力で脚色したら、
このていどの小説って書けると思う。文才のある中高生とかでも。
なんか、各章のタイトルが、はずかしくなるくらい陳腐でありきたり。
本文の1行目から才能ない!って実感できる小説はなかなかないかも。
200数十ページを読み切るのはなかなかたいへんだった。
歴史物なので、状況で読み進められる、という感じ。

この作家、澁澤龍彦の妹なのね。
だから何。だけど。


20060639借。
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