活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
久世光彦『有栖川の朝』
久世光彦『有栖川の朝』文藝春秋、2005、
173p、1429-

第一章 謀(はかりごと)
第二章 練(ねり)
第三章 獺祭(だっさい)


田園調布八丁目の奥まった一軒家である計画をめぐらす3人。
70間近で川獺似の穴太月(あのお・つき)、
有栖川識仁(ありすがわ・さとひと)を名乗ることになっている
40男の安間安間、
魚住華(うおずみ・はな)と名乗っている、ただの華ちゃん、
30歳。
これは詐欺ではない、一流の、一世一代のエンタテイメントなのだ。
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何が起こるのかと、わくわくと読んでしまった。
なるほど、確かにこれは詐欺ではないかも(笑。
ちょっとエンタメに走りすぎたけどね。

しかし「獺祭」といえばあの日本酒、そしてミサトさんだわ(笑。

20070930借
★★★
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栗田有起『ハミザベス』
栗田有起『ハミザベス』集英社、2003、
172p、1400-

ハミザベス
豆姉妹


更年期障害に苦しむ母・梅子と、卵巣の機能が微弱なため、
二十歳になっても初潮が来ない娘・まちるのささやかな
ふたり暮らし。
そこへ離婚した父の訃報と、遺産相続が舞い込み、
娘は父が残したマンションに引っ越すことになる。
父の死後の処理をしてくれたのは、父と同居していた
遠い親戚、花野あかつき。
あかつきはそれまでの仕事を辞めて、新しい仕事に就くため
飼えなくなったハムスターをまちるに預ける。
マンションの33階で一緒に暮らすハムスターに、まちるは
ハミザベスと名前をつけた。
昨日見た映画の主人公の母親・エリザベスは、女手ひとつで
貧しいながらも元気に一家を養っていたから。
ハムスターのエリザベス。
父の死をきっかけに距離ができ、それによって始まる、
母の子離れ、娘の母離れ。

「時間差の双子」と母に言われた、7歳違いの姉とわたしは、
丸顔の姉妹である。豆姉妹。
進路選択を目前に控えた高2の夏、看護師の姉は突然宣言した。
「わたしは看護師をやめてSMの女王になるよ」
血のつながらない弟、姉に思いを寄せる担任、
何かしなければという焦燥感と、何もできないという無力感。
アフロだっていいじゃないか。
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そうか、これが栗田の第1作か。なるほど。
どっちの作品もよかった。
そこはかとなく長嶋有に似てる気がするのは
家族ものが多いから?

20070930借
★★★
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久世光彦『飲食男女』
久世光彦『飲食男女』文藝春秋、2003、186p、1429-

実は久世は未読だったので、なんだかおいしそうなタイトルのものを
選んでみた。
ある食べものによって記憶に結びついているかつての女性たちの
思い出を綴った短編集。つーかなんつーか。
文章が流麗で、とても読みやすい。
ちょっと湿度のある闇(病み)の中での逢瀬、の数々。
どうにも幸せになれなさそうな。

しかしあれだ、「ぼく」は、変な女にばっかりひっかかるな(笑。

2007.8借
★★
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加納朋子『沙羅は和子の名を呼ぶ』
加納朋子『沙羅は和子の名を呼ぶ』集英社、1999、314p、1700-

黒いベールの貴婦人
エンジェル・ムーン
フリージング・サマー
天使の都
海を見に行く日
橘の宿
花盗人
商店街の夜
オレンジの半分
沙羅は和子の名を呼ぶ


短編集。どれも、ふと不思議な世界を垣間見る、
「普通」の日常を生きる人の話。
おもしろくなくはないけど、説明過多で、そのせいで
野暮ったいというか、垢抜けない印象。

表題作は、会社の取締役の娘と結婚するために、
学生時代からの恋人を捨てた男性が、
もしその恋人と結婚していたら、という夢想が
もうひとつの世界を引き寄せてしまう話。
あっちの世界の子どもと、こっちの世界の子どもが
仲よくなって云々。
しかしなあ。そんなこといわれてもなあ(笑。
たいがいの人には、「あっちの世界」の子どもが
ひとり以上いるんではないかしら(笑。

タイトルがずっと気になっていた本だったんだけど、
同じ人の本はもう読まないかも。

20070809借
★★
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栗田有起『マルコの夢』
栗田有起『マルコの夢』集英社、2005、132p、1300-

大学を卒業しても就職できなかった僕は、パリで輸入業を営む姉夫婦の
手伝いとなるべく渡仏し、なぜか姉のお得意様のお店の厨房で
「キノコ担当者」をしている。
キノコ料理が得意なその店の、いちばん人気のキノコは通称「マルコ」。
干した状態では異臭を放つだけのあやしいきのこだが、水で戻して
火を通すと、信じられないような美味と化す。
姉が独占的に仕入れをしているこのきのこは、どうやら日本産らしい。
経営者から、店が専属でこのきのこを仕入れられるように、メーカーを探して
契約をしてこいと日本に送り込まれた僕。
はたして、いかにすれば「マルコ」に巡り会えるのか!
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『お縫い子テルミー』がよかったので、別の本も借りてみる。
この人は一人称がとてもいいのだね。
主語がない文章が、素直に入ってくる。
自分の行動なのに「わたしは〜」「ぼくは〜」っていちいち話すのって
不自然だもんね(笑。

短いので30分くらいで読了。
おもしろかったけど、この人はエキセントリックな設定で読ませるタイプの
人なのかな。と、ちょっと思う。

★★★
2007.06.21借
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京極夏彦『前巷説百物語』
京極夏彦『前巷説百物語』角川書店、2007、729p、2000-

寝肥(ねぶとり)/周防大【虫莫】(すおうのおおがま)/
二口女/かみなり/山地乳(やまちち)/旧鼠(きゅうそ)



シリーズ第4作。
武蔵野に生まれて口先だけの詐欺師となり、上方に流れ着いたけれど
へまをやった相棒とともに江戸に舞い戻った又市が、
いかにして「御行の又市」となったか。
あまりにも人死にが多い、その前夜。
本編以降でばんばん名前が出てくる人たちが又市と出会うところが
描かれてて、なんつかちょっとファンサービスみたい(笑。

ただ、本編(という言い方もどうか)であれだけ鉄面皮な、
粋で気障をきどっている又市が、ほんとに「青臭い」若造で、
その青臭さでもって、なるべく人が死なない、傷つかない「仕掛け」を
講じるようになっていく、というプロセスは、とてもいいと思う。

さて、これで『前』『巷説』『続』『後』と時系列に4冊揃ったので、
…通して読まないわけにはいくまいなあ(笑。

★★★
2007.5購入
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京極夏彦『邪魅の雫』
京極夏彦『邪魅の雫』講談社ノベルズ、2006、817ページ

やっと買った。
厚いよ! 800ページって何ー。
「厚い」って、本に対する感想じゃないから(笑。

今日から火曜まで滋賀でバイト。
移動中に読もう、わくわく。
おんもらきは正直いまいちだったので、今回は頼むよ京極さん。

20061007購入。
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読み終わってない…(1011)。
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読了報告。
10月14日、ようやく読了。
おもしろかったー。
ちょっと『魍魎の匣』(文字化けしないかな、「もうりょうのはこ」)に
似てる感じ。あの、切なさが。
軍の研究所の秘密実験とか、そういうものに萌え萌えの人は
激しくおもしろいと思う。
榎木津の思いがけない一面を見れたり。
関口巽が思いがけず頑張ってたり。
京極堂が思わず出しゃばってきたり。
というような部分も見られます。

ただね、
長い(笑。

この3分の2くらいの長さにまとめられると思うけどなぁ。

★★★
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栗本薫『魔女のソナタ 伊集院大介の洞察』
栗本薫『魔女のソナタ 伊集院大介の洞察』講談社、1997


伊集院大介大好きなんだけど、最近の栗本はどうもおもしろくない気がする。
『絃の領域』とか、よかったなぁ…

無星
20060615借。
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金原ひとみ『AMEBIC』
金原ひとみ「AMEBIC」集英社、2005、170ページ

初金原。
ちょっと読んでみてもいいかなぁ、と思ったので。
…。
…。
…。
ううーん…

話の題材的にも、もしかしたら10代のときに読んだら
おもしろがれたかもしれない。
でも身も心も健康に生きていきたいモードの今の自分には
自分の内面にしか向かない、主人公の愛情。
食事を摂ることをやめた、という
生物としてできそこないの自分への自己愛がハナについて
どうにも青臭くって食べられない印象。
タイトルも気持ち悪い。「アメーバのような」って。

職業作家をしている20代の拒食症の女性を主人公にする辺り、
作者の、作者自身への自己愛もほの見えてはずかしい。
体重30kgの、誰からも綺麗といわれる作家に、
なりたいのはあなたなんじゃないの?みたいな。

これはなんといっても、装幀とコピーがかっこよかったよなぁ。
本編よりコピーのがかっこいいと思う。
「さあ私の太陽神よ舞い上がれ 安宿に泊まる私を照らせ」って、くぅう。
この人の他の本を読むかどうかは、もう少し間をおいてから考える。


20060628借。
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