活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
長野まゆみ『カルトローレ』
長野まゆみ『カルトローレ Cartorolle』
新潮社、2008.4、299p、1500-


《船》を18歳で降りた私は、救済委員会の予備プログラムを終え、
適応化プログラムのなかで、製本組合の育英基金から奨学金を得た。
《船》から回収された未解読の日誌を調査することが条件だ。
1冊あたり200枚以上の厚みがあり、重い。
これを109冊全部を持ち込める家を探して、
この沙漠の中の自治区に住むことにした。
煉瓦造りの家、家ごとの給水塔、風向きによって沙に埋もれる軌道、
水の在処を探す能力を持つワタたち西の谷の住民、
今は意味の失われた、魔除けの紋様や編み物の模様、
私の内なる「図案室」。
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いいね!(笑
記憶を失った実はキーパーソンの主人公がああら翻弄、という
パタン(笑)から、ちょっと引いた構造がいいのかも。
「私」の淡々とした語り口がそうさせるのかな。
乾いた土地での生活の詳細、
長大な何かの一端であるかのような示唆、
しかし明かされぬ何か、切れ切れの記憶、または記憶の気配。
フォントもいいし、装丁も綺麗で、砂色の見返し、
銀色のしおりひもなど、手許に置いてときどきぱらぱらと読みたい本。
あと食べ物がおいしそう(笑。
それが、例えば「黒麺麭に白バタと蜂蜜」みたいなんじゃなくて、
地に足がついた感じでよいのだ。

★★★★
20090607借
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