活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
原田武『インセスト幻想』
原田武『インセスト幻想 人類最後のタブー』
人文書院、2001.11、230p、2300-

序 章 インセストの禁止と侵犯

    インセストタブー、その広さと深さ/制裁と刑罰/
    かくも多くの侵犯者たち/インセスト容認の言説/
    インセストの問題性
第一章 近親への欲動は特殊・例外的なのか
    社会の闇に隠れて/ときには制度化に近づいて/
    実態はどうなのか/母息子インセストの問題/
    インセスト幻想の普遍性/隠蔽、偽装、転置/
    『ハムレット』『ウェルテル』『嵐が丘』/
    インセストの概念、その多様さ/禁止と侵犯の交錯
第二章 近親婚禁忌の起源について
    「家族関係の混乱」説/「なじみ」の理論/
    「なじみ」でインセストは防げるのか/遺伝上の害悪/
    マイナスの影響はどの程度なのか/動物にもある
    インセスト回避/動物と人間/「交換」の理論ー
    レヴィ-ストロース/レヴィ-ストロース説の有効性/
    インセストタブーの謎
第三章 インセストタブーと宗教
    インセスト、神々の特権/高貴な血筋とインセスト/
    穢れと聖性/災いにして幸運/インセストを容認する宗教/
    思い上がりの危険/性の自由と宗教/インセスト行動と
    宗教感情/教皇になった侵犯者/侵犯、恐怖にして喜び/
    無垢な侵犯
第四章 家族が愛人に変わるとき
    家族とは何なのか/虚構としての家族/ファミリー・ロマンス
    /密室の中での家族/家族という危険な関係/家族の絆と
    インセスト
第五章 母と息子、父と娘
    母と子/母息子インセストの助長と抑制/母息子インセストと
    エディプス・コンプレックス/子を呑み込む母/
    母性憎悪の論理/それでもすがりつきたい母/父娘姦、
    暴力的か合意の上か/父が娘に求めるもの/
    ピグマリオン・コンプレックス/母親の反応
第六章 きょうだいインセストとその周辺
    きょうだいインセストの問題/求めあうきょうだいたち/
    「妹の力」/錬金術ーインセストの創造力/密室と
    ユートピア/インセストは死の匂い/自閉行為としての
    インセスト/「双生児」であること、幸運にして不幸/
    気負いもなく、罪悪感もなく
第七章 インセストはなぜ悪なのか
    容認論の数々/心の傷/秩序破壊としての悪/「尊厳」
    あるいは「畏怖」

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インセストの形態を、父-娘、母-息子、きょうだい のそれぞれに
分けたのには強く納得。
生活の範囲が親族手段から家族へと縮小した社会では、
家族間の関係性においてインセストが問題化する。
個人的には、家族間のそれらが脅迫や暴力をともなわないもので
誰も不幸にならないのなら別にいいのではないかと思う、
消極的な擁護論…を持っているつもりなのだけれど、
どこまでが脅迫なのかとか、力を用いないけれども暗黙の暴力性とか
難しそうな気がするけど。

そして、結局インセストを禁忌とする普遍的な理由というものは
存在しないのだ、ということが明らかになるこの衝撃。
近親婚禁忌は遺伝的な理由というより、社会的な理由のほうが
圧倒的に強く、その社会の力が弱まった場合には、その禁忌は
禁忌たる理由を失うのだ。
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南博『家庭内性愛』朝日出版社、1984
吉本隆明『書物の解体学』中公文庫、1981
松園万亀雄編『性と出会う』講談社、1996  了
『日本人の深層分析』有斐閣、1985
池田由子『汝わが子を犯すなかれ』弘文堂、1991
山口遼子『セクシャル・アビューズ』朝日文庫、1999  了
ロジェ・カイヨワ『人間と聖なるもの』せりか書房、1994〔1939〕
橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社現代新書、1988
本田和子『子別れのフォークロワ』勁草書房、1988
吉田禎吾『魔性の文化誌』みすず書房、1998
岸田秀『母親幻想(改訂版)』新書館、1998
山極寿一『家族の起源』東京大学出版会、1994
矢川澄子『「父の娘」たちー森茉莉とアナイス・ニン』新潮社、1997  了
立川昭二『病いの人間史』新潮社、1989
倉橋由美子『わたしのなかのかれへ』講談社、1970  了
新倉俊一『ヨーロッパ中世人の世界』筑摩書房、1983
ロバート・スタイン『近親性愛と人間愛』
谷口優子『尊属殺人罪が消えた日』
沢木耕太郎『人の砂漠』

20090308借
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