活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
野中ともそ『フラグラーの海上鉄道』
野中ともそ『フラグラーの海上鉄道 Flagler's Folly 』
集英社、2002.4、269p、1600-


事故に遭って植物状態の妻を見舞う病院で、僕はルルに出会った。
ルルが見舞っていたのは祖母。
今はすっかりぼけてしまっているが、若い頃アメリカへ洋行し、
そこで恋に落ちたらしい。ルルはキューバンのクォーターだ。
祖父が祖母に送ったらしいという絵はがきには、
海上に架かる橋を走る機関車の写真。
マイアミとキー・ウェストを結んでいたという海上鉄道。
建設したのはフラグラーというひとりの富豪。
1912年に開通し、1935年に最大級のハリケーンによって、
列車と乗客を巻き込んで崩壊するまでの23年間、
鉄道は小さな島々を繋ぎ、走った。
フラグラーの夢の軌跡をたどるように、祖母アツエは恋に落ち、
ルルはアツエの恋の軌跡をたどって、僕の前から姿を消す。
そして僕はルルを追って、キー・ウェストにたどり着いたのだ。
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悪くない話なのだが、そこはかとなく『ノルウェイの森』を
彷彿するのは何故だろう。。や、大好きだけど『ノルウェイ』。
この人の文章は、一人称だけど、こうなんというか、
語り手が見た風景や食べたものの味、風の匂いなんかがすごく
ビビッドで、色彩豊かな感じがする。
落ち込むときはしみじみ胸が痛いし、快感さえ共有できそうな。
感情移入しやすい文体ということかしら。
うーん、そういうわけじゃない気もするが。

それにしても行きたいぞ、キー・ウェスト。
列車が走ることがない、途切れた海上鉄道の線路なんて、
廃墟萌えには聖地みたいなもんじゃないですか(笑。
…フロリダは遠いけどな。

20080625借
★★★
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