活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
杉浦日向子『ゑひもせず』
杉浦日向子『ゑひもせず』ちくま文庫、258p、540-
初版1990.7、第5刷2006.5、初出1983.8(双葉社)
解説:夏目房之助

袖もぎ様
ぼうずのざんげ
もず
通言室乃梅
ヤ・ク・ソ・ク
日々悠々
花景色狐巷談

駆け抜ける
吉良供養


短編集。
発表時期も媒体も違うのかな、いろんな話。
この人は間違いなく凡人じゃなかったねえ。
江戸風俗研究家とかってあやしい看板じゃなくって
漫画家のままでじゅうぶんよかったのに。
杉浦の描く江戸はあまりに享楽的で、
江戸時代の限られた時期の、限られた場所だけでの風俗を、
あまりに普遍化させすぎた、といって
学部時代の教官はときどき怒ってたけど、
まあ近世史やって人から見ればそうかもしれないよね。
けど時代物の地域性なんてほとんどないようなもんだし、
杉浦だけの功罪というわけでもないでしょう。

わりとどの短編もよいけど、
道楽な若旦那の更正と別離の「ヤ・ク・ソ・ク」、
今夜輿入れする大店のお嬢の最後の恋「袖もぎ様」が
特によかったな。
青年たちが学問所への行き帰りに通る大店の前。
その2階から手鏡越しに、ある若い武家を見初めるお嬢。
その部屋にはあふれんばかりの嫁入り道具。
恋した青年の片袖に木瓜の実を包み、長持に鍵をかけて
花嫁御寮は家を出る。
いいねえ。

2008.5.8購入
★★★
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