活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
笙野頼子『太陽の巫女』
笙野頼子『太陽の巫女』文藝春秋、1997.12、
201p、1429-

太陽の巫女
竜女の葬送


父方の一族では、2代にひとり、太陽の巫女として、
冬至の太陽に嫁ぐ女性が現れる。一族に繁栄をもたらすために。
私、滝波八雲は、その巫女となるべく、冬至の前日である今日、
海に面した部屋で儀式に臨む。
少女の頃から感じていた「彼」の気配が、夫となるべき太陽だと
わかってから、私はこの儀式に臨むべく、その力を現してきたのだ。
「彼」は、母の一族の祖先であるといわれる竜の太陽神がこの地に降臨した際に、
これに遠慮して千に分かれた蛇の太陽神であるともいわれる。
一族の間でのみ「神代から」続いてきたこととされている儀式ではあるが、
私は確かに「彼」の気配を感じ、「彼」に恋をし、「彼」と婚姻を結ぶために
ここにいるのだ。

八雲と冬至の太陽の婚姻がぶじ成ってから半年、竜の一族である母、
誇り高い竜女である母が「竜の病」に倒れた。
「竜の病」は、竜女が人間であることから解放され、
天に還るときにかかるといわれるもので、現在では病名がついている。
細胞の突然変異。見つかれば、あとは助かるすべはなく、
時間の経過ともに衰弱していく竜女を、その「使い女」と家族が、看取るしかない。
竜女の葬送までの期間、八雲は夫に暇乞いをし、母の元へ帰ってくる。
母の「使い女」でもある八雲が、母との関係を、その短い時間の間で確認していく、
その心のひだ、かの女らを苛む目に見えないものたちの声。
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初読は高校時代。やっぱり1年くらい前にAmazonで衝動買い。
笙野頼子、ぶち抜きでこの話が好きだ。
というか、他のやつはちょっとついていけない(笑。

ひとことひとことが美しく、完璧。
内容的にも、「竜女の葬送」までつなげて読んだほうがすっきりするかな。
どっちも甲乙つけがたく好きです。

★★★★
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