活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
小谷野敦『日本売春史』
小谷野敦『日本売春史 遊行女婦からソープランドまで』
新潮選書、2007.9初版、2007.11第4刷、
234p、1100-

まえがき
第一章 売春に起源はあるのか
第二章 古代の遊女は巫女が起源か
第三章 遊女論争-網野善彦による「密輸入」
第四章 「聖なる性」論の起源
第五章 中世の遊女と網野史学
第六章 近世の遊女史
第七章 岡場所、地方遊郭、飯盛女
第八章 日本近代の売春-廃娼運動と自由恋愛
第九章 現代日本にも存在する売春
    -カフェ、赤線、ソープランド
あとがき
関連年表
参考文献
索引


「その昔、娼婦は聖なる職業だったなんて大ウソ!」という
帯に惹かれて買ってみる。
小谷野の著書を読んでると、「あ、もてない人ね」と
声をかけられるな(笑。
『江戸幻想批判』(1999)はけっこうよかったので、
それがパワーアップした本書はうれしい。

古代、中世、近世一部遊郭なのにおける遊女≒娼婦が
聖性を帯びた存在である、という一部認識を、
そんなわけあるか、とこれでもかと史料を出して否定にかかる、
その手段は学術的で評論的で、ある意味ほれぼれ。
そしてそれら「遊女の聖性」論が、近代以降に持ち越されず、
廃娼運動後も、売春防止法制定後も厳然としてある
売春、また売春婦というものが議論の対象にならないことに対する
疑問と憤りが後半の主張。

「恋愛弱者」である人々への必要悪としての売春の肯定、が
主張されるあたり、さすが「もてない男」だな(笑。
でも確かに「負け犬」論争にも取りこぼれるような、
「恋愛弱者」の視点って必要だと思う。

小谷野のこれまでの著書の中では、いちばんよかったという感想。
それから、網野史学の評価と批判って、
もっと真剣にやらんといかんよね。
でもそういうのって、ロマン主義と相まって、
別の分野で再生産されちゃうあたりがやっかいよなあ。

2007.12購入
学術書みたいの 文化科学 / comments(0) / trackbacks(0)
Comment








Trackback
この記事のトラックバックURL: http://blog.coo.sunnyday.jp/trackback/686200