活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
千草子『洛中洛外』
千草子『洛中洛外 清原宣賢の妻』講談社、2003.12、312p、2200- 

上杉本洛中洛外図屏風の祖本となる屏風を描き上げた絵師と、その芸術に捧げる魂に共感し、夫のもとを出奔した女性の、家を出てから、越後へ下るまでの、伏見での日々を描いた作品。
登場人物の関係性が全然つかめずに動揺したが、わざわざ説明しない姿勢に好感が持てるようになっていく不思議。あとがきによると、『翠子―清原宣賢の妻』(講談社、1999)という前作があるらしい。概略が示されているが、それはだいたい本作を読んで想定したこととそんなにずれていなかった。というわけで、この本だけいきなり読んでもOK。
女性である自分、書の道を極めたい書家としての自分、母としての、祖母としての、妻としての自分。そういったいくつもの自分を抱える中で、それでも最後に自分の意志で進みたいと思うのは、書家としての自分、書家として成るためなら、恋すら邪魔でしかないと断言する壮絶な自覚。
独特の文体ではあるけれど、あるからこそ、一読の価値のある1冊。秋の夜長に。最初の10ページでくじけないことを推奨。

20101110★★★★
JUGEMテーマ:読書
小説 サ行 / comments(0) / trackbacks(0)
Comment








Trackback
この記事のトラックバックURL: http://blog.coo.sunnyday.jp/trackback/1100586