活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
恩田陸『蒲公英草紙』
恩田陸『蒲公英草紙 常野物語』集英社、2005.6、252p、1400-

一、窓辺の記憶
二、お屋敷の人々
三、赤い凧
四、蔵の中から
五、『天聴会』の夜
六、夏の約束
七、運命


阿武隈川沿いに広がる平野に位置する農村、槇村の集落は、槇村家を中心にした、こじんまりとしているけれども、豊かな村。医師である父に頼まれて、峰子が槇村家を訪れたのは、ある春の午後。峰子のひとつ上の槇村家の末っ子、聡子の話し相手としてだった。聡子は生まれつき心臓に欠陥があり、寝たり起きたりを繰り返して、あまり外出したこともなく、同年代の友人を求めているから、と峰子に白羽の矢が立ったのである。
寝たきりの、辛気くさいひ弱な子を連想していた峰子だが、実際の聡子は、おかっぱの、輝くような少女だった。いくつもの季節を、ふたりはともに過ごしていくことになる。
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常野シリーズ。
このblogを始める前に読んだものだったけど、再読して掲載。おおまかには覚えていたけど、やはり同じところで涕泣してしまった。なんだろう、このある種の荘厳さ。擬古調の、ともすればややいやみにも聞こえなくない語り口の中でも、その輝きが失せない聡子の透徹した美しさ。ひたひたと迫り来る「なにか大きなもの」の不気味さ、歪んだ熱気、その中における聡子の純粋さが、別の生き物のように、物語の中に息づいている。
常野シリーズは、再読してまとめておこうと思う。 ★★★20101110借
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