活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
渡部直己『私学的、あまりに私学的な』
 渡部直己『私学的、あまりに私学的な 陽気で利発な若者へおくる小説・批評・思想ガイド』ひつじ書房、2010.7、513p、2300-


本書の使用法
「文学教育」について私の行っている二、三の事柄

1年次「基礎演習」
 「名言」のモダニティー
  我日ニ我身ヲ三省ス(孔子)/読書百遍義自ら見はる(『魏略』)/
  自然に還れ(ジャン=ジャック・ルソー)/
  人民の人民による人民のための政治(リンカーン)/
  馬鹿とは結論づけたがることだ(フローベール)/
  正しく見るには二度見よ。美しく見るには一度しか見るな。(アミエル)/
  天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らずと云へり(福沢諭吉)/
  ファシズムとは、何かを言わせまいとするものではなく、何かを強制的に言わせるものだ。(ロラン・バルト)/
  美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない。(小林秀雄)
 現代思想はここが出る
  ソシュール/ニーチェ/サルトル/フロイト/ベルクソン/フーリエ
 出来れば「優」を取りたい人のための「十戒」

2年次「テクスト論」「ジャーナリズム演習」「文芸批評理論」
 『蹴りたい背中』の技術水準
 「天下の朝日」にこう書くと読者はこう怒る
 禁語録
 マドンナはなぜ憎まれないのか? 『坊っちゃん』読解
 犯罪としての話法 谷崎潤一郎の推理小説
 チャリティー文学に唾せよ! 一九八九年前後の村上春樹

3・4年次「テキスト読解・批評ゼミ」
 「直くたくましき性」について 上田秋成と中上健次
 フランボワイヤン様式の小火 中原昌也小論
 存在の発生論的な歯ぎしりにむけて 川上未映子小論
 「馬鹿」の二人連れ フローベール、ベケット、大江健三郎
 「筆耕」たちのさだめ ゴーゴリー、メルヴェル、フローベール
 「演技」と「仮装」のあいだ 後藤明生『笑い地獄』に寄せて

大学院「現代文芸研究指導」
 死ンデモ余ハ感ジテ見セル 谷崎潤一郎の「家庭」小説

あとがき
巻末付録 必読リスト小説編、批評編 主要自著自解

帯:市川真人

「早稲田大学文学学術院講義ネタ帖」を帯に謳う本書は、1989年から2009年くらいまで、雑誌や共著、文庫解説に書かれた文章や講演録の集成。後藤明生論のみ書き下ろし(たぶん)。収録された年代の幅が広いことが、よくも働き、悪くも働いている印象。
18歳から20歳までに、右も左もわからぬままいきなりフーコー、ソシュール、フーリエ、ニーチェ、デリダ、チョムスキーなどなどを叩き込まれた脳みそが、15年を経て知的遊戯の快感に溺れる。正直タイトルがよくわからないのだが、「出る」教養を、思考や研究の基礎として叩き込むカリキュラムは、国公立大も同じだと思う。私学、というのは私大とかそういう意味でなく、自学、に似た意味なのかと愚考してみたりする。

帯にネタ帖とあるからといって、レポートの点取れるかも!と付け焼刃に読んでも、たぶんそのレポートに直接影響することはあまりないと思う。あくまでこれは「ガイド」であって、そこに紹介されているオリジナルに手を染め、その世界と思考に浸からない限りは、自身の「ネタ」になることはないのだ。

ていうか、ほんとこの人村上春樹嫌いなんだなあw
嫌いで有名だけど、嫌い嫌いも好きのうち、と噂されていることを自覚しているところもなんともまた。
笙野頼子は『太陽の巫女』にしか反応できないわたしには、川上未映子はかなり難題。わたくし率〜は苦痛のうちに読了し、苦痛すぎて感想書いてない。でも『金毘羅』は読むかなあ、笙野だしなあ。

気の狂った帯にも、一見の価値あり。読めねーよ!

2010.7購入

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