活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
墨谷渉『潰玉』
墨谷渉『潰玉 かいぎょく』文藝春秋、2009.9、158p、1143-

潰玉
歓び組合



弁護士をしている青木にはおやじ狩りに遭いたい奇妙な欲求がある。その日、からまれた(そのように仕向けた)ふたり組みの少女の、特に浅黒い肌のほうの動きは尋常ではなかった。ミュールをつっかけた足の甲で、的確に睾丸を打ち上げられた。浅黒い肌の亜佐美も、なぜ顔面殴打ではなく急所打ちをしてしまったのかがわからなかった。気づいてしまい、目覚めてしまい、出会ってしまったふたりの、限界への挑戦の序章。
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ちょっとなかなかついていきにくい世界の表題作と、信託銀行に勤務していた「わたくし」が、たまたま担当したサカイザワ夫人に見出され、とある組合でQUEENに調教されていくまでの過程をたどった掌編の2本立て。
強いていうなら、2本めのほうがまだ世界に入れるような。
何が青木をして、亜佐美をして、睾丸を潰すような欲求に駆り立たしめているのかが全然わからず、置いてけぼりをされたような感じで途方にくれる。ただひたすらに、こうあった、という状況の説明と、刹那の感情のみで進んでいく物語。ひたすらの欲望というにも切迫感がなく、行動だけがエスカレートしていく印象。でも、その切迫感のなさ、が却ってかれらの悲劇であり、興味深いところなのかもしれないが。

★★

20101010借
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