活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
事件は些事、トリックすら些事:森博嗣『キラレ×キラレ』
森博嗣『キラレ×キラレ』講談社、2007.9、288p、880-

プロローグ
第1章 不愉快な繰り返し
第2章 不連続な繰り返し
第3章 不条理な繰り返し
第4章 不用意な繰り返し
第5章 不思議な繰り返し
エピローグ


遡って読むXシリーズ。満員電車の中で起こった通り魔的な連続事件。列車を降りようとする女性の背中を、鋭い刃物で切りつける悪質な犯罪だ。容疑者の濡れ衣を着せられた知人の依頼で、探偵の鷹知は、小川に声をかけて手がかりを探っていく。
オチとしてはちょいと安直で首肯しかねる感じではあるが、直接の事件やその解決ではなく、主人公的な人々の人間模様が進展していくさまのほうが、むしろおもしろいという構図は、S&Mシリーズからの変わらぬ潮流か。
★★20101210借
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誰も本当のことを知らない:森博嗣『タカイ×タカイ』
森博嗣『タカイ×タカイ』講談社、2008.1、312p、950-

プロローグ
第1章 まずは虚儀に集い
第2章 しかし虚構の眺め
第3章 そして虚飾が陰り
第4章 またも虚脱を語り
第5章 やがて虚栄は崩れ
エピローグ

読んでなかったけどXシリーズというものの3作目らしい。芸大生の真鍋と、バイト先の美術鑑定事務所の助手、小川とが、周囲とともに起こった事件のミステリっぽい側面を洗い出す。萌絵も出てくるけれども、なんだこの迫力は!w 有名マジシャンの自宅庭で、そのマネージャが遺体で見つかった。それも、庭に立てられたポールの上にくくりつけられて。
実際に誰がどのようにかれを殺害したのか、その意図は何なのか、最後まで明確にはならない不思議な展開。むしろ、その遺体の放置状態と、そのトリックが主眼。うーん、不思議だ。でも読んじゃう森博嗣の不思議。

★★20101128借
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森博嗣『僕は秋子に借りがある』
森博嗣『僕は秋子に借りがある 森博嗣自選短編集』
講談社、2008.8、397p、1800-

虚空の黙祷者
Silent Prayer in Empty
小鳥の恩返し
The Girl Who was Little Bird
赤いドレスのメアリィ
Mary is Dressed in Red
探偵の孤影
Sound of a Detective
卒業文集
Graduation Anthology
心の法則
Constitutive Law of Emotion
砂の街
The Sandy Town
檻とプリズム
A Prism in the Cage
恋之坂ナイトグライド
Gliding through the Night at Koinosaka
素敵な模型屋さん
Pretty Shop of Models and Toys
キシマ先生の静かな生活
The Silent World of Dr.Kishima
河童
Kappa
僕は秋子に借りがある
I'm in Debt to Akiko


こちらもリサイクルな短編集。
前回読んだのと違って、ミステリではない。
森博嗣のミステリ以外の小説って、
『スカイ・クロラ』シリーズ以外はあまり得意ではないかも。
特にこういう不条理系は、あまりおもしろく感じない。
そんな中で「卒業文集」はよかった。
いや、どんなどんでん返しがくるかと、
びくびくして読んでいたのだが(笑。

★★
20090703
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森博嗣『どちらかが魔女』
森博嗣『どちらかが魔女 Which is the Witch?』
講談社、2008.8、429p、1800-

ぶるぶる人形にうってつけの夜
The Perfect Night for Shaking Doll 
誰もいなくなった
Thirty Little Indians 
石塔の屋根飾り
Roof-top Ornament of Stone Ratha 
マン島の蒸気機関車
Isle of Man Classic Steam
どちらかが魔女
Which is the Witch?
双頭の鷲の旗の下に
Unter dem Doppeladler
いつ入れ替わった?
An Exchange of Tears for Smiles
刀之津診療所の怪
Mysteries of Katanotsu Clinic


短編集。
N大学の人物を中心に(その多くは西之園家関係者)、
基本的に1話完結のお話が収録。
多くがメフィスト誌が初出で、既に他の本に収録されているものの
再収録で、エコですな。
ある状況をミステリーと知覚するのは、受け手側の主観、
という森博嗣の大前提がとくとくと語られている(と思う)。
1話めと最終話が、きちんとオチになってて、
それは叙述トリックの仕業で、
んじゃあやっぱり魔女はこっちでしょ、という
気持ち的なオチもつく、お得な1冊。
読みやすくて気軽に楽しかった。

★★★
20090607借
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森博嗣『スカイ・イクリプス』
森博嗣『スカイ・イクリプス』Sky Eclipse
中央公論新社、20080625、245p、1700-

ジャイロスコープ Gyroscope
ナイン・ライブス Nine Lives
ワニング・ムーン Warning Moon
スピッツ・ファイア Spit Fire
ハート・ドレイン Heart Drain
アース・ボーン Earth Born
ドール・グローリィ Doll of Glory
スカイ・アッシュ Ash on the Sky


いろんな時間軸、いろんな人物に焦点を当てた短編集。
「ナイン・ライブス」がちと衝撃というか、
ティーチャはな…ティーチャの内面とか私生活とかは別にな…みたいな(笑。
「ドール・グローリィ」もよかった。

★★★
20081201借
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森博嗣『工学部・水柿助教授の逡巡』
森博嗣『工学部・水柿助教授の逡巡』幻冬舎、2006.1
254p、829-、初出2004.12幻冬舎

第1話 「まだ続くのか?」「命ある限り(高笑)」的な
    悪ふざけからいかにしてミステリィに手を染めたのか
    着メロを鳴らす
第2話 いよいよやってきた人生の転機を脳天気に乗り越えるや
    いなやラットのごとく駆けだしてだからそれは脱兎でしょうが
第3話 小説家として世界に羽ばたくといって本当に羽ばたいていたら
    変な人になってしまうこの不思議な業界の提供でお送りします
第4話 サインコサインタンジェントモッドサイエンティスト
    サンタクロースコモエスタアカサカサントワマミー
第5話 たまには短いタイトルにしたいと昨夜から寝ないで
    考えているうちにおもしろい夢を見てしまった。そこで一句。
    短めにタイトルつけたら秋かもね。


某国立大学工学部建築科の助教授、水柿くん33歳は、その後いかにして
ミステリィ作家として世に出る羽目になったか。
…ミステリィ好きの奥さんをぎゃふんといわせたくて、模型作りの時間を
執筆に充てて書き上げた第1作は、横書きだったせいもあって奥さんには
不評だった。知人に見せたが芳しい返事は返ってこなかった。
第2作も書いてみたが「最初のよりおもしろいけど」と奥さんは冷たい。
しかしある出張で電車待ちをするため書店にいるときに、
投稿ということをして、編集者というプロの人に読んで批評して貰おう
(もしよい評価を得られたら奥さんにいばれる)と思い立ち、
募集要項に、原稿は縦書きに限る!と強硬に書いていない小説雑誌を購入。
研究室のプリンタで(横書きのまま)プリントアウトし、大学生協の
いちばん安いバインダにはさんで投稿。
そして本人も忘れたころ、そのK談社から電話がかかってきたのだ。
さあ、どうだみろ奥さん!
…でもK談社って、どんな会社なの?
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5行に1行…か、それ以下くらいとびとびで読んだけど無問題。
なんか、いろいろうまくいってよかったね(笑。
副業で稼いで家を買うっていうのもすごいなあ、というかいいなあ。。

20080625借
★★
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森博嗣『ゾラ・一撃・さようなら』
森博嗣『ゾラ・一撃・さようなら Zola with a blow and goodbye』
集英社、2007.8、279p、1400-


頸城悦夫、探偵。
知人の洋樹の紹介だという今回の依頼人、志木真智子はこう言った。
ゾラという世界的に有名な殺し屋が、次に狙っているのが
元都知事の法輪清治郎である。
わたしの母は若い頃、法輪にあるものを預けた。
あるもの、とは天使の演習と呼ばれる美術品で、
法輪が死ぬ前に、これを取り返してほしいのだ、と。
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冒頭に登場人物紹介があるもんだから、そういう系のミステリかと
思って読み進んだら、なんだか違うんでやんの(笑。
ミステリのお約束をひっくり返して肩すかし、というのが
この人の十八番かしら。
基本的に頸城の一人称だけど、章の終わりに、別の人物の語りが入る。
うふふふふ、これが誰かということがポイントなわけですな。

20080610借
★★
小説 作家 森博嗣 / comments(0) / trackbacks(0)
森博嗣『もえない』
森博嗣『もえない Incombustibles』角川書店、
2007.12、259p、1500-


クラスメイトの杉山友也の葬式のあと、
杉山の父親が高校に僕を訪ねてきた。
棺に何冊か愛読書を入れてやったのだが、
燃え残りの中に金属の栞のようなものがあり、
そこに僕の名が刻印されていたというのだ。
S.FUCHITA、それは確かに僕の名前だけど…
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相変わらず秀逸な森の一人称。
今までは気にも留めなかったちょっとした違和感、
それが個々のピースとしてはまっていくときの快感、
自分の知らないうちに何かが迫ってくる恐怖、
みたいなミステリの王道みたいな部分もありつつ、
思春期の少年の、おとなびた独白の体裁。
冒頭のよしもとばなな『ハネムーン』からの引用もぐー。
何がもえないのかと思ってたけど、サブタイまんまの
「燃えない」だし(笑。
そうか、「名前は燃えない」か。

20080531借
★★★★
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森博嗣『少し変わった子あります』
森博嗣『少し変わった子あります』文藝春秋、
2006、246p、1381-

少し変わった子あります
もう少し変わった子あります
ほんの少し変わった子あります
また少し変わった子あります
さらに少し変わった子あります
ただ少し変わった子あります
あと少し変わった子あります
少し変わった子終わりました


後輩の荒木に聞いたその店は、電話番号のみで営業している。
店の名前はない。誰かに紹介して貰うしかアクセス方法はない。
電話に出るのはいつも、店の女将だ。名前はない。
ひとりの客に一夜限りの店舗で料理を供するその店は、
一緒に食事をする女の子をオプションにすることができた。
ひとりの客に一夜限りひとりの女の子、かの女らに名前はない。
ただその食事を取る姿がたいへん美しく、
ほんの少しの会話がどことなく楽しく、おもしろい。
その不思議な時間を過ごしたくて、ときどき電話をかけてしまうのだ。
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英題:Eccentric persons are in stock

タイトルから想像してたのより全然おもしろかった!
人物描写がけっこう丹念で、個々のキャラがよく描かれてる印象。
一人称を生かした叙述トリックつき(笑。

★★★★
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森博嗣『工学部・水柿助教授の日常』
森博嗣『工学部・水柿助教授の日常』幻冬舎、2003、
222p、800-

第1話 ブルマもハンバーガも居酒屋の梅干しで
    消えた鞄と博士たち
第2話 ミステリィ・サークルもコンクリート試験体も
    海の藻屑と消えた笑えない津市の史的指摘
第3話 試験にまつわる封印その他もろもろを
    今さら蒸し返す行為の意義に関する事例報告
    及び考察(「これも小説か」の疑問を抱えつつ)
第4話 若き水柿君の悩みとかよりも客観的なノスタルジィ
    あるいは今さら理解するビニル袋の望遠だよ
第5話 世界食べ歩きとか世界不思議発見とかボルトと机と
    上履きでゴー(タイトル短くしてくれって言われちゃった)


工学部の建築学科の助教授で、建築材料が専門で、
ふたつ年下の妻、須磨子さんとふたり暮らしの水柿君の、
ちょっと「ミステリィ」な日常。あるいは数学的な。
きわめて理系的な、どこまでも論理的な思考をする
水柿くんは、須磨子さんの好きなミステリィ小説の
論理的な穴が気になってしかたない。
そんな水柿君が数年後ミステリィ作家として
デビューすることになるなんて、世の中はミステリィだ。
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森博嗣は、京極の『どすこい(仮)』で『すべてがFになる』を
パロられたことを根に持っているのかしら…(笑。
おもしろくなくはないけど、読みにくかった。

★★
20071014借
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