活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
映画『WANTED』
映画『ウォンテッド』
2008、アメリカ、110min
監督:ティムール・ベクマンベトフ
主演:ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー、
   モーガン・フリーマン

こんな平凡な自分が本当の自分なわけがない、
こんな平凡な生活がいつまでも続くわけがない、
自分にしかできないでっかいことがあるはずなんだ!
というへたれ男子が、いきなりちょー美人=フォックスによって
異世界(比喩)に拉致られて反発しながらそっち色に染まっていく、
うん、まあ「マトリックス」です。
もちろんフォックスはアンジー。

生後7日の自分を置いて出奔した父は、実は凄腕の暗殺者で、
組織の裏切り者によって昨日殺害された。
その復讐をするために組織入りする主人公=ウェスリー。
猛烈な特訓を受けて首尾よく暗殺者となったウェスリーは、
全然首尾よくなく特急を脱線させて無関係な死傷者を
さんざ出した挙げ句、父の敵の殺害に成功。
しかし敵は今際のきわに、自分こそウェスリーの父であると言い残す。
つまり、組織は「運命」として決まるはずの標的の名を意図的に
隠蔽し、自分たちが歴史を変える権力を持つ組織になろうと
しており、そのことに気づいて反抗した父と、
その血を引いて優秀な暗殺者になるであろうウェスリーを標的とし、
まずはウェスリーに父を殺させ、
ついでウェスリーをも暗殺しようとしていたのだ。

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今年初めての投稿が映画(しかもレンタルDVD)っていうのは、
仮にも読書録を標榜するblogとしていかがなものかと自問(笑。
書きかけた山ほどの読書録を、いつ完成させようか悩み中。。

悩みながら、アンジー早く見たかったので大急ぎでレンタル。
見たかったというわりに劇場に行きそびれているのだが、
昨今そんなことばっかりだったので、そこは気にしない方向で。
見てみた感想としては、うん、すごくおもしろかったけど、
時間をむりやり削って劇場行かなくてもよかったかな、と。
むしろ解像度はよいけどサイズは小さい自宅のモニタで、
蛍光灯の明かりの下で見るくらいがよいのかな、と。
いや、あんまり大画面で血しぶきとかはちょっと…なので。
音楽はとてもかっこよかったけど。
なんていうか、ちょっとむなしさが。

だまされたとはいえ、本当の父を殺してしまったウェスリー。
組織に復讐をし返すために、
平凡な日常からかれを拾い出した組織の基盤機関を爆砕、
平凡な自分を暗殺者として(けっこうむりやり)開花させてくれた
トレーナーたちを惨殺。
それらのいわゆる「父」殺しの果てに、組織自体をも破壊する。
自分を守り、叱咤激励往復ビンタ(ナックルつき)、
さらには体を張って暗殺者極意(弾道歪曲)を体得させてくれた、
いわばウェスリーをこの世界に生んだ「母」ともいえる
フォックスをも失った末に。

組織が「運命」でもって標的を選出しているのではなかったら、
その標的を暗殺することによって、これからその標的によって
被害を被る人々が減るのだという正義が通用しないなら、
自分たち暗殺者が、新たなフォックスを生み出す存在なのだとしたら、
暗殺者たちは暗殺されなければならない。
もちろん、自分を含めて。
フォックスの弾道には迷いがなかった。

「父」を殺し、「母」を失い、本当のみなしごとなったウェスリーが
本当の自分を追求してたどりついた暗殺者という「運命」。
いったいかれは、これから誰を殺していこうとしているのだろう。
「運命」の標的を見つけ出すシステム=組織は、
かれによって失われたというのに。

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最近この方のblogにめろめろで、「ウォンテッド」評も素敵です。
「すきなものだけでいいです」→『ウォンテッド』
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