活字中毒者の乱読日記 印象批判100%
吉川トリコ『グッモーエビアン!』
吉川トリコ『グッモーエビアン!』新潮社、2006、
188p、1200-


19歳で私を産んだ元パンクスのお母さんと、
血はつながっていないけれど父として家にいる
だめ男のヤグと、中学2年の私、の3人家族。

1年も海外をほっついていたヤグは帰国早々宣言した、
オーストラリアへ移住しようと。
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親の結婚とか離婚とかが思春期に気にくわないのは、
不動の存在であってほしい最も身近な大人である
ところの親の、色であるとか恋であるとか、
動揺する場面を目の当たりにしたくないからなのかな、
と思ったりもする。
そこで考えることと感じることをさぼらないと、
子どもは早く大人になるね。という話。たぶん。

この作者の本、たぶんもう読まないとか言いながら
また借りてしまった。きっと第1作も読んでしまうだろう。
しかしなんだ、栗田有起とか、長嶋侑とか、
この手のドライな印象の家族ものって、
どうも区別がつかない気がして困る。もっとアクがほしいなあ。

そうだ、この人がデビューした「女による女のためのR-18文学賞」
の、第5回大賞受賞作が読みたい。
宮木あや子『花宵道中』。買うかどうするか、ちょいと悩む最近。

★★★
20071014借
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吉田篤弘『つむじ風食堂の夜』
吉田篤弘『つむじ風食堂の夜』筑摩書房、2002、
158p、1500-


人工降雨の(自称)研究者である「私」が、この月舟町で
台所代わりにしているのが通称<つむじ風食堂>だ。
ここの皿はとても美しい。そして分厚いメニュー。
コロッケは「クロケット」、
生姜焼きは「ポーク・ジンジャー」、
鯖の塩焼きは「サヴァのグリル、シシリアンソルト風味」。
おしゃべりな帽子屋、劇団No.2女優、親方な古本屋、
読書家の果物屋、年齢性別不明の編集者。
手だけの手品師であった父の形見である袖口だけの舞台衣装を
机の前の壁に留めて、「私」はこの街で雨の研究と、
糊口をしのぐための雑文書きを続けている。
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作者の氏名にうっすら記憶があったんだけど、そうか、
クラフト・エヴィング商會の人か。なるほど、そういう雰囲気。
『どこかへ○いってしまった○ものたち』に似てるのか。
月舟町はいしいしんじの世界にもちょっと通じるものがあるけど。

ディティールとか、流れる空気は心地よいけど、
でもだから?という気はする(笑。
テーマは「長い時間をかけた父からの卒業」か?

20071003借
★★
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吉川トリコ『「処女同盟」第三号』
吉川トリコ『「処女同盟」第三号』集英社、2007、173p、1300-

「処女同盟」第三号
夢見るころはすぎない
一泊二日
新宿伊勢丹で待ち合わせ
そこからはなにが見える?
夏かける自転車


短編集。
「自意識過剰な高校生以外何者でもない」高校生だった
経験のある女性には、痛くてはずかしくてたまらない作品群では(笑。
もちろん自分も(笑。
ひとつひとつは(疲れるけど)悪くないけど、
同じ調子だったら、この人の他の短編を読むのはつらいなあ。
「誰もが過ごしたあの時間」みたいなものに嫌悪感があって、
それを自虐的に軽視しようとするも、なかなかそうはいかない、と
いうジレンマがひしひしと伝わる作品群であった。
あと、固有名詞とそれが持つイメージに頼りすぎ。
そういう「モノ語り」な物語なんだろうな、とも思うけど。

mixiって、もうこうやって活字の小説の中に組み込まれるような
存在なんだなあ…
「サイト」、サイトかあ…
SNSという大義は、多くのユーザには意味なきことか。

20070907借
★★
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